算数の勉強の仕方

投稿者: | 2011年10月15日

算数の基礎はまず計算力です。九九に始まって、しっかりとした計算力を身につけることはとても重要なことだと思います。今の算数、数学教育の中でこの計算力をないがしろにする傾向はあまり良いことだと思いません。円周率を3にするというのも、賛成できません。小学校の算数の中でいちばん小数の計算を使うのが円なのです。これがなければ、子供たちが計算力を養う場はほかにはないといっても過言ではないでしょう。

 今まで算数ができていた子供たちが、突然成績が悪くなるきっかけになるのが円です。この段階で、計算力が身についていなければ、円周を求めたり、面積をもとめたりするときミスを連発します。ですから指導する上で、この単元のところでもう一度、きちんと計算の仕方を確認します。そして、正確にといていく過程を身に付けさせるのです。これは算数や数学ばかりでなく、他の教科にも必要なことです。ゆとり教育という名のもとに、本当の学力をつけるということから外れてしまう傾向が、私には理解できません。

 さて、この計算力を身につけるという作業が、結構、おもしろくないものです。誰だって計算問題を百題やれといわれれば、拷問のように感じるでしょう。ですから、計算問題はたくさん出してはいけないのです。一回につき3題から5題が適当でしょう。その代わり、絶対に間違えないようにするのです。子供はたくさんやれといわれると、どうしても正解率が悪くなります。だから、むしろ正解率に重きをおくのです。ゲーム感覚で遊んであげるのもよいでしょう。例えば10日連続正解したら、夕食はこどもの好きなメニューにするとか、どこか遊びにつれていってもらえるとか、そういうごほうびを用意して楽しみながらやってください。

 このとき、2つ守ってほしいことがあります。ひとつは、字をていねいに書くこと。計算ミスのうち、かなりの部分が自分の字を見間違えることによるからです。もうひとつは、必ずその場で見直すこと。計算が進んでいくうちに、違うことに気がつくと、後に戻るのは大変です。やったその場で確認すれば、ミスは必ず減ります。この2つを守って、ていねいに計算練習をさせてください。

 計算力をつける一方で、算数は応用力をつけなければなりません。ところが一般に、この勉強の仕方を間違えているケースが多く見られます。たとえばつるかめ算を学習していて、基本問題ができるようになった子供に応用問題をやらせたとします。この応用問題ができないとき、多くの方が基本にもどしてしまうのです。ところが実際に基本問題をやらせてみると、たいていの場合はできるはずです。これは指導の仕方が間違っています。

 応用問題というのはいくつかの要素を重ね合わせて作られています。基本問題はそのひとつの要素にすぎません。応用問題を解くためには、その要素を分解していかなければならないのです。これは応用問題を練習しなければ、できるようになりません。基本にもどっても何の効果も得られないのはこのためです。

 ではどうしたらよいでしょうか。その問題を分析するしかないのです。大学入試の時にもよく言われていることですが、解答の詳しい問題集を用意してください。そして、その解答をよく読むようにするのです。1問に対してかける時間は15分程度でよいでしょう。
それでできなければ、解答を読みます。そして、どうやって解くのか、理解するのです。理解した上で、もう一度やってみます。これをやっていけば、応用問題を構成するいくつかの要素を理解して、再度組み立てられるようになってきます。でも、この勉強は時間がかかります。できなければ1問について30分程度は少なくともかかるでしょう。だから、たくさんの問題をこなすというわけにはいきません。

 でも、たくさんの問題を解く必要は本当はないのです。よく申し上げたことですが、すべてのパターンを網羅するというような考え方は間違っています。毎年、いろいろな問題が出題されていますから、そんなことは土台不可能なことなのです。それよりは、一問一問に対する対応力を身につけさせた方がよほど効率がよくなります。ストイックに勉強する必要などありません。応用力を身につけることは、考える力を養うことであって、データ-を網羅することではないのです。

 算数の復習はとても大切な勉強です。特にできなかった問題については、きちんとやり直しておきましょう。私はこんな勉強方法を提案していました。

 塾でやった問題の中からできなかった問題をやり直します。解答は教えてもらっていますが、それを見ずに解きなおすのです。そこでできたらOKですが、できなかったら、その問題の解答をまず読み直します。そして京大型カードを出して、表に問題、裏に解答を再度書き写しておくのです。この書き写すという作業が意外に効果を発揮します。そしてそれを箱の中にいれておくのです。できなかった箱とでもしておきましょう。そして週末、その箱の中から問題を引き抜いて、もう一度やり直します。これで3回目ですから、さすがにこのときはできることが多いのですが、それでもできないときは、箱に問題を残します。すると箱の中には子どものできなかった問題だけが残りますから、これがデーターベースになるわけです。

 残った問題はまとめて長期休みなどに取り組むとよいでしょう。子どもができる問題に時間をかけるのは効率的とはいえません。できなかった問題をできるようにすることが一番効率が良いのですから、それに集中する勉強法を工夫してください。

 ノートの使い方も工夫しましょう。一問に対して1ページをさきます。そして、ていねいに式や計算を書くようにしてください。頭の良い子供ほど、これはできません。なぜなら頭の方が先に回転してしまっているからです。でも、ミスの原因を作るもとですから、少なくとも問題が難しくなった段階では、やはりていねいに書かせることが大切でしょう。

ポイント

計算力をつける。

計算問題はたくさんやらせず、正解率に重きを置く。

応用問題ができないとき、基本にもどってはいけない。

解答を読んで、考え方を理解する。

ていねいにノートに式や計算を書く。

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