してみせて、いってきかせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ
山本五十六のことばです。よくビジネス書に出てくるのですが、子どもたちにもよくあてはまります。(ぜひ、これも受験手帳に書き込んでおいてください。)
「勉強しなさい」だけでは、わからない子どもはたくさんいます。ですから、してみせなければなりません。さらにくわしい解説がいるでしょうし、それも何回か繰り返さなければならないでしょう。
そして自分でさせてみて、最後が大事ですね。「ほめてやらねば」ダメなのです。
その意味においては、私はお母さんが子どもたちといっしょに勉強することを楽しむことが大事だと思います。中学校に入ったら、子どもといっしょに勉強するなんて時間はまずありません。ご自分の経験を振り返られても、まずないことだと思います。ですから、小学生の時間はとても貴重なのです。
うちの子どもたちももう大きくなってしまいましたから、勉強を教えることなどまずなくなりました。それはそれで大きくなったということなのですが、やはりさみしいものです。ですから、この機会をどうぞ楽しんでください。お母さんも勉強しれみれば、良いと思います。そしてぜひ子どもたちがやっている勉強の大変さを理解してあげてください。
私も中学受験をした口ですが、今の子どもたちがやっているほど絶対に勉強しませんでした。塾に入ったとき、こんなに難しくなったのかと改めて感心したほどです。大変だと理解できれば、ほめることばも多くなります。
お母様たちのことばは、子どもたちには割と辛らつです。これは身近に生活していていろいろな欠点が見え、それを何回注意しても直らないから、だんだん辛らつになっていくのでしょう。
しかし、子どもを育てる上で一番、大事なことば、「ほめることば」を増やすということです。ほめられれば、子どもたちには自信がつきます。「そんなことをいったらのぼせてしまう」と心配されている方もいらっしゃるかと思いますが、お母さんがほめることばを多くすれば、必ず子どもたちは積極的になります。
ですから、どうぞほめてあげてください。ほめるのが照れくさい方は、1日1回必ずほめようと決めてください。きっと、子どもたちに対する見方がだんだん変わってくるでしょうし、さらには子どもたちも変わってくると思います。
ビジネスの上ではよくplan do seeということばが使われます。計画し、実行し、確認するという意味ですが、子どもの勉強に関しても同じことが言えます。何が終わったのか、お母さんはちゃんと子どものノートを見て確認すべきです。ただ言葉だけのやりとりで、
「勉強やったの」
「うん、やった」
「そう、えらかったわね。」
これは受け取り側の子どもによっては効果がまったく違います。一生懸命がんばった子は、ほめられたからまだしも、一生懸命がんばらなかった子は「そうか。これでも通るんだ」と経験してしまいます。
ほめられるのであれば、もっと具体的にほめられた方がほめられる方もうれしいに決まっています。
「あら、こんな問題もできるようになったの」
とか
「ずいぶん、きれいな字になったわね。」
とか、どうぞ見つけてください。このことが後で非常に、子どもたちの成長に役立ちます。
やはりseeはしっかりと確認すべきです。別にお母さんがそこで教える必要はありません。わからないことがあるのであれば、今度、塾の先生に聞いてきてね。ということでもかまいません。たとえば、わからなかった問題を受験手帳に書きとめておいて、あとで先生に尋ねたかどうかを確認してあげてもいいのです。忘れそうな男の子なら、5×3のカードに書いて、先生に渡してもらってもよいかもしれません。長くやる必要はありませんが、子どもたちが自分で意識を持つまでは必要なことだと思います。ポイントはお母さんが子どもたちの勉強を把握しているということです。中学生や高校生になれば、当然、これを自分でやるわけですが、まだ小さいですから、なかなか自分でコントロールすることはできないのです。ですから、それを肩代わりしてあげてください。
だからといって子どもを罵倒しては、ぜったいにいけません。その意味で、親戚の子を預かったくらいの距離感をお持ちになるとよいかもしれません。
それとseeではもうひとつ大事なことがあります。それはことばではやさしく、態度はきびしくということです。例えば、本来は4時から勉強することになっていたのに、友達と遊びに行ってしまって、その日の予定が終わらないということはままあるものです。
このとき大抵のお母さんは
「だから、いったでしょう。もうこんなに遅くなって、早く寝なさい。」
とおっしゃると思います。
これが言葉で厳しく、態度があまい例。
本来は
「そう、大変ね。がんばってね。お母さん、先に寝るから。」
とおっしゃっていただきたいところです。
言葉は優しいですが、「約束は守ってね。」と態度は厳しいですね。
これを聞いた子どもはどう思うでしょうか?
「ちゃんと、やんなきゃ、寝れないんだ」
そういうことが積み重なってくると、子どもにも自覚が出てきます。
できることを積み重ねることが子どもの勉強にはどうしても必要です。塾で課題を出されても、スケジュールに入りきらなかったら、塾の先生にぜひ相談して、やり切れる内容にしぼりこんでもらってください。
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